町山智浩のVIDEO SHOP UFO『バニー・レークは行方不明』”Bunny Lake is Missing” (1965) を観た



CSのザ・シネマで、「町山智浩のVIDEO SHOP UFO」という特集があったので録画していたものを香港へ持ち帰った。ラインナップが面白くて、未見の映画ばかりだったので、一本ずつゆっくり鑑賞しようと思ってる。

#町山智浩のVIDEO SHOP UFO : ザ・シネマ

その中でも一番観たかったのが、オットー・プレミンジャー監督の映画『バニー・レークは行方不明』”Bunny Lake is Missing” (1965)である。観終わって、これは子供の頃に観ていたらトラウマになっちまうな、と思わせる大変気持ちの悪〜い映画だった。

町山智浩さんとは年齢が近いので、おそらく彼は昔テレビの洋画劇場でこれを観たのだろうと想像している(それ以来日本ではなかなかこの映画は観れなかった)。だが、今観てもこれは強烈なインパクトを残す。彼が傑作だと言う意味もよくわかった。

解説(前説)は、YouTubeにアップされている以下(↓)の町山さんの語りを見てもらえればと思う。


あらすじは、アニー・レーク(キャロル・リンレー)がロンドンへ引っ越して来た初日、4歳のバニーを保育園に預けたがいなくなってしまう。ジャーナリストの兄スティーブン(キア・デュリア)もすぐに保育園に駆けつけ、警察からもニューハウス警部(ローレンス・オリヴィエ)が来て捜査を始めるが、保育園の中では、誰一人としてバニーを見た人がいない。はたしてバニーは見つかるのか?それとも、そもそバニーという女の子は実在するのか?というもの。

これはネタバレをしないで語るのはヒジョーに難しい映画の一本だ。だが、知ってから観ると、この映画のラストの衝撃を体験出来なくなるわけで、やっぱりやめておいた方が良いだろう。

町山さんの後解説によると、原作と映画はラストが違っているという。そういう意味で、これは脚本(ジョン&ペネロープ・モーティマー)の勝利かもしれない。
保育園の先生、食事係、園長も何か変で、アニーの隣人も、今ならセクハラですぐに訴えられるようなヌメッとした変態で、バニーの人形を修理に出したという店も不気味だし、なによりアニーそのものが、いつも不安げで本当の事を言ってるのかどうかがわからない。兄にも「アニーは子供の頃、想像上の友達バニーと話してた」と云われるし…

モノクロの画面と音楽が、このサスピシャスだらけの疑問の答えとラストの恐怖を増幅させる。ソール・バスのタイトルバックも良い。”失踪もの”のこれは確かに傑作と思う。

キャロル・リンレーは、我々の世代には『ポセイドン・アドベンチャー』で「モーニング・アフター」歌ってたおねーちゃん。キア・デュリアは『2001年宇宙の旅』のボーマン船長。アンの隣人役のノエル・カワードは著名な劇作家。町山さんによれば「彼はゲイだった」とのことだが、ぼくが知ってる限りでは、サー・ローレンス・オリヴィエもゲイだったとの噂があるから、二人は撮影中どうだったのかとあらぬ想像をしてしまった。ある意味こっちの方が衝撃的な結末かも(笑)

Bunny Lake is Missing (1965)
Directed by Otto Preminger

11-May-18 by nobuyasu

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